私たちの腸には多くの腸内細菌が生息しており、消化だけでなく、免疫や代謝など体のさまざまな働きとの関係が研究されています。
また近年では、腸と脳が互いに影響し合う「腸脳相関」や、腸内細菌と肥満、アレルギー、加齢、運動などとの関係についても研究が進められています。
本記事では、腸内細菌や腸内フローラの基本から、現在研究されている腸と体との関係、毎日の生活に取り入れやすい食事・運動・セルフケアまでわかりやすく紹介します。
腸活とは?腸が健康に重要な理由
「腸活」とは、一般に食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直し、腸の健康を意識して生活することを指します。
腸活で大切なのは、特別な食品や方法だけに頼るのではなく、バランスのよい食事や適度な運動、十分な睡眠など、毎日の生活習慣を整えていくことです。こうした習慣は腸だけに限らず、健康的な生活を送るための基本でもあります。そのため、腸活は日々の健康づくりを見直すきっかけの一つとして取り入れることができます。
また、腸は食べ物を消化・吸収し、不要なものを排出するだけでなく、多くの腸内細菌が生息する場所でもあります。近年では、腸内細菌と免疫や代謝など、体のさまざまな働きとの関係についても研究が進められています。
ただし、「腸内環境を整えれば病気を予防できる」「腸活をすれば痩せる」といった単純な関係が確認されているわけではありません。健康づくりの一つとして、無理なく続けられる生活習慣を取り入れていくことが大切です。
では、私たちの腸の中にはどのような細菌がいるのでしょうか。まずは腸内細菌と腸内フローラの基本から見ていきましょう。
そもそも腸内細菌・腸内フローラとは?
腸内細菌(腸内菌)とは、人の腸内に生息する細菌ひとつひとつのことを指します。また、多様な細菌が集まった状態を「腸内フローラ」と呼んでいます。正式名称では「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」といいます。
人の身体には約60兆個の細胞があるといわれますが、腸内に生息する細菌数はその10倍の600兆個以上、細菌の種類は1,000以上あるといわれています。腸内細菌は種類ごとに塊となり、腸の壁に密集しています。多種多様な腸内細菌が腸壁にびっしりと張り付いた様子は、お花畑(フローラ)のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ばれています。医学用語では「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と呼ばれます。
腸内細菌の3つのグループとは?
腸内細菌について一般向けに説明するとき、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という3つのグループに分けて紹介されることがあります。
「善玉菌」と呼ばれるものには乳酸菌やビフィズス菌などがあり、「悪玉菌」と呼ばれるものにはウェルシュ菌などがあります。また、腸内の状態などによって働きが変わるとされる細菌を「日和見菌」と呼ぶことがあります。
ただし、実際の腸内細菌は非常に多様で、「善玉菌」「悪玉菌」と単純に二分できるものではありません。これらは腸内細菌の働きをわかりやすく説明するために使われている一般的な呼び方と考えておきましょう。
また、この3グループの腸内細菌の構成「腸内フローラ」は大きな個人差があります。食事やストレス、生活習慣によって大きく影響されるため、まったく同じ腸内フローラを持つ人はいないといわれています。さらに、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」のような特定の比率がすべての人にとって理想的だと決まっているわけでもありません。


細菌とウイルスは違うもの?
腸内細菌の「細菌」とウイルスは異なるものです。細菌は適切な環境で自ら増殖できますが、ウイルスは単独では増殖できず、人や動物などの細胞を利用して増殖します。腸活でよく耳にする乳酸菌やビフィズス菌は「細菌」の仲間です。
腸と脳はつながっている「腸脳相関」
腸と脳は、神経系や内分泌系、免疫系などを介して互いに情報をやり取りしており、この関係は「腸脳相関」と呼ばれています。
腸には「腸管神経系」と呼ばれる独自の神経ネットワークが広がっています。腸管神経系は、脳や脊髄からの指令だけに頼らず、消化管の動きなどを自律的に調節することができます。このような特徴から、腸は「第二の脳」と呼ばれることもあります。
腸と脳の情報伝達は一方通行ではありません。たとえば、脳がストレスを感じることで消化管の働きに変化が生じることがあります。一方、腸内細菌がつくり出す代謝物などが、神経系や免疫系を介して脳の働きと関わる可能性についても研究されています。
このように、腸と脳は互いに影響し合う関係にあります。ただし、「腸内環境を整えればストレスや不安が改善する」と単純に考えられるものではなく、腸内細菌と脳との関係については現在も研究が進められています。

腸脳相関の参考資料:
◆ 腸内細菌による消化管神経回路の修飾|腸内細菌学雑誌(J-STAGE)
◆ 腸内細菌と精神神経疾患からみる腸脳相関|心身医学(J-STAGE)
腸内環境は体にどう影響する?
腸内環境は、さまざまな体の機能に影響を与えます。腸は消化器官だけでなく、免疫機能やホルモン分泌、さらには代謝にも関与しています。腸内の善玉菌が多いほど、これらの機能が正常に働く可能性が示されています。その他にも、怒りや不安、悲しみなどの行動パターンの違いや、太りやすい/太りにくい、アトピーやうつ病の発症などにも「腸内細菌」が関係していることが報告されています。
◆感情・行動パターンと腸内細菌の関係性
腸内細菌のバランスは、人間の感情や行動パターンにも直接影響を与えていることが近年の研究で示されています。特に、腸と脳のつながりを示す「腸脳相関」は注目されています。腸内細菌が生成する短鎖脂肪酸などの化合物は、脳に信号を送ることが分かっており、これがストレスや不安感に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、善玉菌が多い腸内環境では、セロトニンの分泌が促進され、気分が安定しやすくなるとされています。逆に、腸内環境が悪化すると、抑うつや不安症のリスクが高まることが示されています。このため、腸内細菌のバランスを整えることがメンタルヘルスにおいて重要な役割を果たすことが期待されています。
また、行動パターンにも腸内細菌は影響を与えることが考えられています。特に、ストレスに対する反応や食欲に関して、腸内細菌が調整する可能性があります。腸内環境を良好に保つことで、ストレス管理や食欲のコントロールがしやすくなるかもしれません。
このように、腸内細菌と感情の関係はまだ解明されていない部分も多いですが、腸内環境を整えることで心の健康を保つ手助けになる可能性があります。日常生活において、腸内環境を意識した食生活を心がけることが重要です。
参考資料: 幼児期の気質は腸内細菌叢と関係する | 京都大学
◆肥満と腸内細菌の関係性
腸内細菌と肥満・体重管理との関係については、さまざまな研究が行われています。
これまでの研究では、肥満のある人とない人では腸内細菌叢(腸内フローラ)の構成や多様性などに違いがみられることがあり、腸内細菌が食事から得られるエネルギーの利用や代謝などに関わっている可能性も研究されています。
「デブ菌」「ヤセ菌」って本当にあるの?
腸活やダイエットに関する情報では、「デブ菌」「ヤセ菌」という言葉を目にすることがあります。一般に「デブ菌」はファーミキューテス門、「ヤセ菌」はバクテロイデーテス門の細菌を指す言葉として紹介されることがありますが、「デブ菌」「ヤセ菌」は正式な細菌の分類名ではありません。
ファーミキューテス門とバクテロイデーテス門の比率と肥満との関連は研究されてきましたが、その後の研究を含めると結果は一様ではなく、「ファーミキューテス門が多いから太る」「バクテロイデーテス門を増やせば痩せる」と単純に考えることはできません。
腸内細菌叢は非常に複雑で、食生活や年齢、生活環境、薬剤の使用など、さまざまな要因によって変化します。また、腸内細菌がつくり出す代謝物と、エネルギー代謝や食欲、炎症などとの関係についても研究が進められています。
そのため、「デブ菌を減らしてヤセ菌を増やせば痩せる」と考えるのではなく、これらは腸内細菌と肥満との関係をわかりやすく説明する際に使われることのある俗称として捉えておきましょう。
腸内細菌だけで体重の増減が決まるわけではありません。 体重管理には食事、身体活動、睡眠など多くの要因が関わるため、「腸活をすれば痩せる」と考えるのではなく、毎日の食事や生活習慣を見直すきっかけの一つとして腸内環境について考えてみましょう。


「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」は、腸内細菌の働きを一般向けに説明するときによく使われる呼び方です。一方、ファーミキューテス門やバクテロイデーテス門などは、細菌を系統的に分類した名称です。
参考資料:
◆ 腸内細菌叢と肥満症 | 日本内科学会雑誌
◆ ヒトの健康を支配する腸内細菌|日本薬学会 環境・衛生部会
◆ 褐色脂肪組織に着目した腸内細菌と肥満との新たな関連を解明|日本医療研究開発機構(AMED)※食餌性肥満モデルマウスなどを用いた研究
◆アトピーや花粉症と腸内環境の関係性
アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患と、腸内細菌叢(腸内フローラ)との関係について、さまざまな研究が行われています。
腸には多くの免疫細胞が存在し、腸内細菌やその代謝物と免疫機能との関わりについても研究が進められています。また、アレルギー疾患のある人とない人では、腸内細菌叢の構成や多様性などに違いがみられることも報告されています。
プロバイオティクスについても、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患との関係が研究されています。ただし、使用する菌株や対象者、研究方法などによって結果は異なり、「特定の善玉菌を摂ればアトピーや花粉症が改善する」と単純に考えることはできません。
腸内環境を考えるうえでは、特定の食品や菌だけに頼るのではなく、野菜、果物、豆類、穀類などさまざまな食品を取り入れ、食物繊維を含むバランスのよい食生活を心がけることが基本です。
腸内細菌とアレルギーとの関係は現在も研究が進められている分野です。腸活をアトピー性皮膚炎や花粉症の治療の代わりと考えず、症状がある場合は適切な医療を受けることが大切です。
参考資料:
◆ 食物アレルギーとアトピー性皮膚炎のヒト細菌叢の研究 | 順天堂大学医学部附属順天堂病院
◆ [綜説] プロバイオティクスとアレルギー – 〜腸内細菌との関わり | 原田 岳, 宮澤 賢司, 依田 一豊, 山崎 和幸, 何 方, 平松 優



◆加齢や運動と腸内細菌の関係
加齢と腸内細菌の関係
加齢に伴って腸内細菌叢(腸内フローラ)の構成や多様性が変化することが知られており、腸内細菌と健康的な加齢との関係について研究が進められています。
特に注目されているのが、腸内細菌が食物繊維などを発酵することでつくり出す「短鎖脂肪酸」です。短鎖脂肪酸には酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあり、腸管の環境や免疫・代謝などとの関わりが研究されています。
近年の研究では、高齢者と若年者では腸内細菌叢や短鎖脂肪酸の状態に違いがみられることも報告されています。ただし、「特定の腸内細菌を増やせば老化を防げる」「腸活によって老化を遅らせることができる」とまで結論づけられているわけではありません。
腸内細菌と加齢との関係は現在も研究が進められている分野の一つとして捉えておきましょう。
参考資料:
◆ 日本人高齢者の健康維持:「中之条研究」における腸内細菌叢研究の進展|J-STAGE
◆ The impact of ageing on faecal short chain fatty acids levels in apparently healthy adults: A systematic review and meta-analysis|Ageing Research Reviews(2026)
運動と腸内細菌―「アスリート菌」とは?
運動と腸内細菌との関係も研究されています。2019年に発表された研究では、ボストンマラソンに参加したランナーを調べたところ、マラソン後に「ヴェイロネラ(Veillonella)属」と呼ばれる腸内細菌が増えていることが確認されました。
ヴェイロネラ属の細菌には、運動によって生じる乳酸を利用し、短鎖脂肪酸の一つであるプロピオン酸をつくる働きがあります。
さらに研究では、マラソン選手から分離したVeillonella atypicaをマウスに投与したところ、トレッドミルで走る時間が延びる結果が得られました。
こうした研究から、運動と腸内細菌、さらに運動パフォーマンスとの関係が注目されています。ただし、人で「この菌を増やせば持久力が高まる」と確認されたわけではなく、研究はまだ進行中です。
「アスリート菌」という言葉だけが一人歩きしないよう、現在分かっている範囲を知っておくことが大切です。
参考資料: 一流の運動選手の成績と腸マイクロバイオームとの結び付き|Springer Nature

あなたの腸内環境をチェック
腸内環境は、毎日の排便状態で確認することができます。次のチェック項目を日々意識しておくと体調の変化に気づきやすく、病気も早期の発見につながるでしょう。
Check 1: 便の頻度や量について
日本人の場合、平均的な1日の排便量はバナナ1本~2本弱ほどだそうです。食物繊維など野菜の摂取量が不足すると回数は減り便秘気味になります。
排便の回数には個人差があり、1日に3〜4回という方から週に3〜4回という方まで正常範囲内と考えられます。ただし回数が多くても量が少なかったり、残便感があったりする場合には便秘の可能性があります。3日以上排便がない場合、便秘と定義されます。
Check 2: 便の形や硬さについて

①〜③:コロコロしたウサギの便のように「硬い便」は、消化管の通過速度が非常に遅く便秘といえます。悪玉菌が多いタイプで、水分や食物繊維の摂取が不足していたり、運動不足、ストレスなどが原因と考えられます。
④:適度に滑らかで柔らかいバナナ型は理想的な便です。
⑤〜⑦:形状のはっきりしない「柔らかい便」や「水っぽい便」の場合は下痢と定義されます。このケースも悪玉菌が多いタイプで、油分やお酒の摂りすぎであったり、運動不足やお腹の冷え、ストレスなどが原因であることが多いです。
Check 3: 便の色について

便は黄色が強いほど善玉菌が多く腸内が酸性であることを表し、茶が濃くなるほど悪玉菌が多く便秘の状態となります。ビフィズス菌の多い乳児の場合黄色い便となりますが、健康な大人であれば通常黄褐色です。
【色でわかる健康の危険信号】
黒くドロっとした便は腸内で出血していることが考えられ、鮮血のような赤色の場合には肛門近くで出血している可能性がありますので、医療機関で受診してください。
また暴飲暴食などによる白っぽい便も、続く場合には肝臓や胆のうに問題がある可能性もあるので、医療機関での受診をしてください。
Check 4: 便のニオイについて
乳児の場合は、腸内に善玉菌であるビフィズス菌が多いので、便もほぼ無臭か少し甘酸っぱい匂いになります。
一方、大人の弁臭については、香ばしい臭いが健康な状態とされます。キツい悪臭や、いつもと違う臭いがする場合には、悪玉菌が増加していることが考えられます。食事が肉食中心で野菜不足であったり、ダイエットなどで食事バランスが崩れることも悪玉菌が優勢にして消化管の通過速度も落ちるため、臭いに原因になります。
もっと詳しく知るなら腸内フローラ検査
腸内フローラ検査方法には、大きく分けて2つの選択肢があります。1つ目は市販の自宅用キットを購入して自宅で行う方法、2つ目がクリニックで行う方法です。手軽に腸内環境の傾向を知りたいなら前者を、医師に相談しながら詳しいアドバイスや治療につなげたいなら後者を選択することをおすすめします。なお、すべての検査は全額自己負担(自費)となります。
腸内フローラ検査キット比較
腸内フローラ検査キットはいくつもあるため、それぞれの特徴や金額で比較すると良いでしょう(2026年8月時点)。ただし、これらの検査から得られる情報は診断結果ではありません。あくまで「生活習慣や腸活を見直すきっかけ」として、日々の健康管理に活用しましょう。
| サービス名 | 金額目安 (税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| Mykinso(マイキンソー) | 19,800円前後 | 実績・データ量で選びたい人向け。国内最大級の実績で豊富なデータを持ち、日本人基準の分かりやすい総合判定や有用菌の割合を確認できる。医療機関でも採用されているサービス。 →導入医療機関を探す |
| Flora Scan(フローラスキャン) | 19,800円 | 食事や管理栄養士のサポートが欲しい人向け。腸内タイプを5つに分類し、管理栄養士からの無料食事アドバイスが受けられる。医療機関でも採用されているサービス。 →導入医療機関を探す |
| chatFLORA G | 19,800円 (割引時は13,800円) | より詳細な菌(種レベル)まで知りたい人向け。注目される「やせ菌」など第3世代の種レベルまで解析。食事アンケートと連動した具体的な食材提案がもらえる。 |
| Body Granola | 16,500円 | 自分に合ったグラノーラ定期便を利用したい人向け。カルビーが手がける検査キットで、57タイプから自分の腸内タイプを判定。シリアル(グラノーラ)と連動した食生活改善の提案が特徴。 |
| 健腸ナビ | 38,500円 | 病気のリスク傾向(女性34種類・男性31種類)まで詳しく知りたい人向け。価格は高めだが、医療向け解析SYMGRAMと同じ精度で、幅広い疾病リスク詳細まで分析。 |
今日からできる腸活4つ
腸内細菌と健康との関係については、まだ研究途中のことも多く、「腸活をすれば病気を予防できる」「特定の食品を食べれば腸内環境が改善する」と単純に考えることはできません。
一方で、食物繊維を含むさまざまな食品を取り入れることや、適度に体を動かすこと、十分な睡眠や休養をとることなどは、腸だけに限らず日々の健康づくりにもつながる大切な生活習慣です。
「腸活のために特別なことをする」というより、毎日の食事や運動、生活習慣を少しずつ整えていくことが結果的に腸活につながるという意識で始めてみましょう。
ここからは、今日から取り入れやすい4つの腸活を紹介します。
1、発酵食品を食生活に取り入れる(プロバイオティクス)
ヨーグルトや納豆、キムチ、漬物などの「発酵食品」には、製造方法によって乳酸菌をはじめとするさまざまな微生物が含まれています。
腸内細菌と発酵食品との関係についても研究が進められていますが、食品や菌の種類によって働きは異なるため、「発酵食品を食べれば腸内フローラが整う」と一律に考えるのではなく、毎日の食事の一つとして取り入れるのがよいでしょう。
また、ヨーグルトなどの中には、特定の菌株について研究が行われ、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として販売されているものもあります。表示されている機能や摂取方法を確認して利用しましょう。ただし、商品には脂肪や糖分、または塩分なども含まれているので1日の摂取量にも気をつけましょう。

「乳酸菌にもさまざまな菌株があり、研究されている働きも異なります。プラズマ乳酸菌については別記事「プラズマ乳酸菌特集」で詳しく紹介しています。」


2、食物繊維・オリゴ糖で「菌のエサ」を育てる(プレバイオティクス)
腸内細菌の働きを考えるうえで、「食物繊維」や「オリゴ糖」を含む食品を取り入れることも大切です。
食物繊維の一部は大腸で腸内細菌に利用され、発酵によって短鎖脂肪酸などがつくられます。また、食物繊維には便の量を増やすなど、正常な排便を支える働きもあります。
オリゴ糖の中にも、小腸で消化・吸収されにくく大腸まで届き、ビフィズス菌などの腸内細菌に利用されるものがあります。このように、腸内の有用な細菌のエサとなり、その働きを支える食品成分は「プレバイオティクス」と呼ばれています。
食物繊維は野菜、豆類、海藻、きのこ、果物、全粒穀物などに含まれています。オリゴ糖はハチミツ、玉ねぎ、ねぎ、大豆、アスパラガス、カリフラワー、アボカド、バナナなどさまざまな食品に含まれています。
また、青魚などに多く含まれる「オメガ3脂肪酸」と腸内細菌との関係についても研究が進められています。ただし、オメガ3脂肪酸そのものを「腸内環境を改善する成分」と考えるのではなく、魚をはじめ、さまざまな食品を組み合わせたバランスのよい食事を心がけることが大切です。
特定の食品だけに偏るのではなく、いろいろな食品を毎日の食事に取り入れていきましょう。

3、適度な運動で腸を刺激する
腸内環境を良くするためには、バランスの良い食生活と共に「適度な運動」も大事です。なぜなら、運動そのものが健康づくりに重要なためで、腸内細菌と身体活動との関係についても研究されています。
ハードなトレーニングよりも、ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れてみましょう。
体を動かす動画を探してみましょう
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動、目的や部位別のストレッチ、ヨガ・ピラティスなど、さまざまな運動動画から自分に合ったものを探せます。
↓↓↓
有酸素運動 | ストレッチ | ヨガ・ピラティス

4、自律神経・生活リズムを整える
腸の動きは自律神経(交感神経・副交感神経)に深く支配されているため、「ストレス管理」は腸活に不可欠です。
腸内環境を整えるためには、質の良い睡眠を確保し、リラクゼーションや趣味の時間も作ることで心身の健康を保つことが大切です。瞑想や深呼吸などのメソッドを取り入れても良いでしょう。
また、十分な水分補給も忘れてはいけません。水分不足は腸内のバランスを崩す原因となりますので、日々適切な量の水を摂取することが求められます。これらの基本を、生活に取り入れてみましょう。



実践!腸活に取り入れたいエクササイズ&マッサージ
ここでは、運動に慣れていない方や高齢の方でも取り入れやすい、シンプルなトレーニングやストレッチ、マッサージをご紹介します。
体調に合わせて無理のない範囲で行い、痛みや違和感がある場合は中止しましょう。
シンプルな腹筋
腹部の筋肉を使うシンプルなトレーニングです。
【やり方】
- 床に仰向けに寝転んだ姿勢で「く」の字型に軽くひざを立てます。
- 両手を頭の後ろで組み、お腹を覗き込むようにして上体を起こします。下腹に効かせるイメージで行いましょう。
- この動きを繰り返します。5〜10回程度を目安に、無理のない範囲で行いましょう。
(5〜10回で1セット)。

膝抱え
仰向けで膝を抱え、お腹まわりをゆったりと伸ばすポーズです。
【やり方】
- 仰向けになって膝を曲げ、両膝を両手で抱えます。
- 膝を胸の方へ引き寄せながら顔も膝の方へ近づけます。
- 5秒停止して緩めます。
- 同じことを10回繰り返します。

ウエストひねり
上半身をひねり、腰やわき腹まわりを伸ばすストレッチです。
【やり方】
- 床に足を伸ばして座り、左脚を曲げて右脚の外側にかけます。
- 右手で左膝を抱え、左手はお尻の後ろに置きます。
- 息を吐きながら上半身を左にゆっくり捻ります(ウエストがねじねるのを意識して行います)。
- そのままの姿勢をキープしたまま、呼吸を5回行います。
- 息を吐きながら元に戻します。
(反対側も同様に行いましょう)

「の」の字マッサージ
お腹をやさしく触れながら、「の」の字を描くように行うセルフマッサージです。力を入れすぎず、リラックスしながら行いましょう。
【やり方】
- ヨガマットやベッドの上で仰向けになり、膝を立てます。立った姿勢や椅子に座った姿勢でも行えます。
- おへそを中心に、手のひらや指先で時計回りに大きく「の」の字を描くように、やさしくマッサージします。
- 心地よいと感じる程度の力で、ゆっくり数回繰り返します。
※腹部に痛みや違和感がある場合は行わず、治療中の病気がある方や手術後、妊娠中などは医師に相談してください。

ツボ押し① 天枢(てんすう)
天枢(てんすう)は、おへその左右にあるツボです。東洋医学では消化器に関わるツボとして用いられ、便秘を対象とした鍼灸の研究でも使われています。
ただし、ツボを押すだけで便秘が改善すると確認されているわけではありません。お腹まわりのセルフケアの一つとして、無理のない範囲で取り入れましょう。
【ツボの探し方・押し方】
おへそから左右それぞれ指3本分ほど外側を目安に探します。
仰向けになるなど、お腹の力を抜いた状態で、指の腹を当ててやさしく押します。強く押し込まず、心地よいと感じる程度にしましょう。
※腹部に痛みや違和感がある場合は行わないでください。
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ツボ押し② 足三里(あしさんり)
足三里(あしさんり)は、膝の下にある代表的なツボの一つです。東洋医学では消化器に関わるツボとして用いられ、消化管の働きなどを対象とした鍼灸研究でも使われています。
便秘に対するセルフケアとして紹介されることもありますが、ツボ押しだけで便秘を改善しようとするのではなく、食事や運動などの生活習慣とあわせて考えましょう。
【ツボの探し方・押し方】
膝のお皿の外側下にあるくぼみから、指4本分ほど下がったあたりが目安です。
親指などを当て、痛みを感じない程度の力でゆっくり押します。左右とも無理のない範囲で行いましょう。
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天枢・足三里の参考資料:
◆ Efficacy and Safety of Acupuncture at Tianshu (ST25) for Functional Constipation: Evidence from 10 Randomized Controlled Trials
◆ 便秘に対する鍼通電療法の臨床とそのエビデンス|J-STAGE
※ST25は天枢、ST36は足三里を表す国際的な経穴表記です。
まとめ|腸活は毎日の小さな習慣から
腸内細菌は、消化だけでなく、免疫や代謝など私たちの体のさまざまな働きと関わっていることが分かってきました。一方で、腸内細菌と健康との関係には、まだ研究途中のことも多く、「特定の食品を食べれば腸内環境が改善する」「腸活をすれば病気を予防できる」と単純に考えることはできません。
だからこそ、腸活のために特別な食品や方法だけに頼るのではなく、食物繊維を含むさまざまな食品を取り入れること、適度に体を動かすこと、十分な睡眠や休養をとることなど、毎日の生活習慣を見直すことから始めてみましょう。
発酵食品や食物繊維、オリゴ糖などを食生活に取り入れたり、無理のない運動やセルフケアを試したりすることも、その一つです。すべてを一度に始める必要はありません。自分に合ったものから少しずつ取り入れ、無理なく続けていくことが大切です。
「腸活のために特別なことをする」のではなく、日々の健康づくりを意識した生活が、結果的に腸活にもつながっていきます。できることから一つずつ始めてみてはいかがでしょうか。
