ストレッチは、朝起きた時やジョギングなど運動の前後、お風呂上がり、就寝前などのタイミングで多くの人がやってみたことがあると思います。
ストレッチは自己流でも気持ちいいのですが、せっかく取り入れるならもっと効果的な方法を知りたいという方のために、ここではストレッチの種類や方法ついて深しく説明をしてみようと思います。
見様見真似の独学でストレッチするよりも、知識を深めることでより効果的で安全なストレッチが自分自身でできるようになると思います。
ストレッチは大きく分けて2種類
ストレッチには大きく分けて2種類あるということをご存知でしょうか。
2種類のうちの一つは身体を動かしながら筋肉を刺激して関節可動域を広げる『動的ストレッチ』で、もう一つは勢いや反動を使わずゆっくり筋肉を伸ばす『静的ストレッチ』です。
ストレッチは目的にあった内容を選ぶことが効果的ですし、怪我防止にもなります。
では2種類のストレッチについて説明していきます。
◆静的ストレッチ(スタティックストレッチ)
2種類のストレッチのうちの1つ『静的ストレッチ』は、勢いや反動を使わず筋肉を伸ばした状態を一定時間止める方法です。
筋肉に伸ばした状態を覚えさせることによって身体の柔軟性を高めることを期待できます。伸ばしている間は決して呼吸を止めず、リラックスして行うことが大切です。
静的ストレッチは主に運動後のクールダウンに用いられ、入浴後や就寝前などに行うこともお勧めです。
深い呼吸をしながら行う静的ストレッチは、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせるため、準備運動に取り入れると逆効果となりパフォーマンスの低下につながってしまうかもしれません。
また静的ストレッチは、反動や勢いを使わないため運動に慣れない方でも安全に行えます
しかしストレッチはやり過ぎや、痛みを感じるほど無理に伸ばすことは、怪我にも繋がりますので注意が必要です。
痛みを感じる少し手間の「イタ気持ちイイ」くらいで止めておきましょう。
なぜなら痛みを感じるほどに伸ばしてしまうと、身体は反射的に筋肉を収縮して固くするからです。
そうなると柔軟性は高めるどころか可動域の改善も得られなくなってしまいます。
あくまでも、リラックスした状態で無理し過ぎずにゆっくりと行うことが大事なポイントです。
▶︎筋トレ後のストレッチ動画を見る
◆動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)
2種類のストレッチのうちのもう片方は、身体を動かしながら筋肉を刺激して関節可動域を広げる『動的ストレッチ』です。
動的ストレッチは身体を温めながら柔軟性を高めることができるので、主に運動前の準備体操に適しています。実は、誰もが知っているラジオ体操も動的ストレッチに分類されます。
また動的ストレッチは筋肉を温ため、運動パフォーマンスを向上させたりケガを防止する効果が期待できるため、スポーツ界でも積極的に取り入れられています。
このストレッチは脚や腕を大きく動かしながら筋肉をほぐすので、血流がアップして心拍数も上がります。一定のリズムで首や膝、腰など関節の曲げ伸ばしをしたり、旋回させたりすることでストレッチをかけたりします。
例えばこれらも動的ストレッチですが、学校の体育の時間などでもやったことがあると思います。
- 掌のグーパー
- 手首回しストレッチ
- 膝回しストレッチ
- 足首回しストレッチ
- 踵の上げ下げ
- 膝の屈伸ストレッチ
- 肩回しストレッチ
- 腰回しストレッチ
- 首回しストレッチ
またサッカー選手が準備体操で行っている「ブラジル体操」や、メジャーリーガーの前田選手がしている「マエケン体操」なども動的ストレッチです。
▶︎筋トレ前のストレッチ動画を見る
<外部リンク>
👉 ダイナミックストレッチングとは (特定非営利活動法人 日本ストレッチング協会)
👉プロが教える動的ストレッチ 前編(健康カプセル!ゲンキの時間)【動画】
👉【試合前のウォーミングアップ】ブラジル体操🇧🇷‼️【動画】
👉【ダイナミックストレッチ】筋トレ前にやるべき全身ウォームアップ(動的ストレッチ・家トレ)【10分動画】
バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは動的ストレッチの一種で、勢いや反動を使って弾むような動きで筋肉を伸ばす方法です。パフォーマンス向上のための準備体操として使われたりします。
しかしこのストレッチは可動域や柔軟性が低下している方が無理に行ってしまうと、逆効果になったり怪我の原因となるリスクがあり十分な注意が必要です。
バリスティックストレッチは自分で反動をつけて行う以外に、理学療法士など他者に反動をつけてもらって行う方法もあります。
目的によって動的ストレッチや静的ストレッチを使い分けよう。
◆動的ストレッチ:カラダを動かして筋肉の伸び縮みを繰り返し行うストレッチ
◆静的ストレッチ:反動をつけずに目的の筋肉を一定時間適度に伸ばす
ストレッチの順番も大きく分けて2種類
◆(心臓から遠い末端の)小さな筋肉からストレッチする
ストレッチは、大きな筋肉を動かすと血流が良くなり体を温めるという効果があります。
そのため運動前の準備運動で、まだ十分に身体が温まっていない時にいきなり血流を促進するようなストレッチをすると、心臓へ負荷をかけてしまいます。
朝起き抜けに動的ストレッチをしてしまったり、寒い冬場の身体が縮こまっている時に中心部からウォーミングアップを開始してしまうことは避けたいです。
末端から始めるストレッチは、運動開始時のウォーミングアップや、午前中などまだ体が起きていない時間帯、運動初心者やご高齢者にもおすすめです。
※慣れない方は、マットの上でできるやり方が良いです。
◆大きな筋肉からストレッチする
運動後に身体が温まっている時のクールダウンストレッチには、使った筋肉の疲労を解消する目的があります。ウォーミングアップのストレッチとは反対に、運動で上がった体温をゆっくり下げるのがクールダウンです。
ランニングの後などに、急に身体を動かすことをやめるのではなく、軽い動きを続けながら動的ストレッチから始めて徐々に静的ストレッチにスイッチしていくのが良いでしょう。
またストレッチのをかける部位は、大きな筋肉からだんだん足先など末端の小さな筋肉へと移していきます。
運動後の体が温まっている時の静的ストレッチは疲労回復だけでなく、柔軟性を向上するのに最適なタイミングです。ウォーミングアップより時間をとってゆっくり行うとよいでしょう。
静的・動的ストレッチの例とやり方
静的ストレッチ、動的ストレッチの実例をいくつか紹介します。
静的ストレッチ – 四股立ち
太ももの内側と外側、股関節の周りの筋肉が伸びるストレッチです。
【やり方】
つま先を45度外側に向けて足を大きく開く。
膝を曲げてお相撲さんが四股を踏むようなポーズになる。太ももは床と平行になるくらいお尻を落とし30秒キープする。肘はももの上に置くようにして軽く支えてOK。
[注意点]
背中が丸くならないように背筋は真っ直ぐに。
呼吸は止まらないよう自然に息をしましょう。
静的ストレッチ – お尻
お尻の表層にあるもっとも大きな筋肉「大臀筋」を伸ばすストレッチです。
【やり方】
片膝を曲げて床に座り、反対の脚は膝を曲げて床に置く。立てた膝を両手で抱えて背中を伸ばす。
脚をクロスさせて、抱えた膝を胸に引き寄せ、上体と顔を抱えている脚の方向にツイストして30秒キープ。反対側も同じように行う。
[注意点]
背中が丸くならないように背筋は真っ直ぐ。
呼吸は止まらないよう自然に息をしましょう。
▶︎その他のお尻のストレッチ動画を見る
動的ストレッチ – 股関節(膝倒し)
股関節外旋筋群のエクササイズ。球関節の1つ、股関節の動きをつけることで整えます。膝への負担を軽減させる効果も期待できます。
【やり方】
床に座り、足を開いて膝を立てる。背中をやや後ろに倒し両手をお尻の後ろに置く。左右の膝を交互に内側に倒す動きをゆっくりと繰り返す。
[注意点]
痛みや違和感がある時は無理に行わないようにしましょう。
動的ストレッチ – 股関節(フロッグストレッチ)
股関節を動かしやすくするためのエクササイズ。膝への負担を軽減させる効果も期待できます。
【やり方】
肩の下に肘、股関節の下に膝がくるように四つ這いになる。膝を外側に開き、つま先も外側に開く。お尻の位置を上下に動かすことを繰り返す。
[注意点]
膝を床についたままだと動きにくいので、股関節を動かすことを意識して上体を上下させましょう。
運動前のウォーミングアップ例(動的ストレッチ)
ストレッチの方法はたくさんあるので、あくまで一例ですが次のような流れで末端の小さな筋肉から大きな筋肉へ変えていくとよいです。
ストレッチするときは呼吸が止まらないよう自然な呼吸を続けましょう。
それと、ストレッチの強度は自分に無理のないように必ず調整してみてください。
軽くウォーキングや足踏みをしながら、末端のストレッチ1)を開始すると良いです。
1)手足の指 → 手首・足首 → 肘下や足の脛まわり
●手や足のグーパー
ゆっくりと指の間にストレッチがかかるように大きく開いたり閉じたりする。
●手首回し・足首回し
反対方向にも回す。また、手首をブラブラ軽く振る動きなど。
●手の甲や肘まわりのストレッチ
手で指先を持って手首を反らしたり倒したりしながら肘の方まで伸ばす。
●足の甲や脛・足首周りのストレッチ
片足ずつ指先を床に立て、指を内側や外側に倒す動きで足裏、足の甲、脛にかけて伸ばす。
2)ふくらはぎ、膝・太ももまわり → 股関節・お尻・腰まわり
●ふくらはぎのストレッチ
両脚を大きく前後に開いた状態から、体重をやや前に移動させながら前脚の膝を曲げる。
後ろ脚の膝は曲げず、踵が地面から浮かないようにしてふくらはぎの伸びを意識する。
反対の足も同じように行う。ダウンドックのポーズでも良い。
●膝まわし
腰をかがめて両手を膝に置く。軽く両膝を曲げた状態で右回り、左回りを数回行う。
●膝の曲げ伸ばし
両手を膝に置き、膝を曲げてしゃがむ、伸ばして戻る、を数回繰り返す。
●腿の前のストレッチ
壁などに手を置き、体をフラつかないよう安定させておく。
片膝を曲げ、手でサポートしながら踵をお尻の方へ近づけて10秒ほどキープ。
前側の腿の伸びを感じるように行う。反対側も行う。
●ハムストリング(腿裏)のストレッチ
ゆっくり力まないように前屈していく。
ややつま先側に体重をかけ、膝が曲がらないようにして10秒ほどキープ。
腿の裏側が伸びることを感じるように行う。反対側も行う。
●内転筋のストレッチ
つま先45度外向きで足を大きく開いて立った姿勢になる。
膝をつま先方向に曲げ、シコを踏むように深く腰を落とす。
両手を膝に置きサポートしながら片側の肩を内側に入れ内腿のストレッチ。
反対側も同じように行う。
●腿上げ・股関節まわし
足を揃えた立ち姿勢から、片脚ずつ膝を回しながら股関節まわしをする。
(膝は前から上にあげ、外側に開いたら下を通って前から上げる、を繰り返す)
●お尻のストレッチ
足を揃えた立ち姿勢から、片脚ずつ腿をあげて膝を両手で抱えます。
腿を胸に押し付け、反対の膝が曲がったり腰が前に引っ張られないようにする。
お尻が伸びていることを意識する。反対側も同じように行う。
●腰まわし
両手を腰に、足を広めに開いた立ち姿勢。
腰を大きく右回しと左回しをする。
3)二の腕まわり → 肩・肩甲骨・背中 → 首まわり
●二の腕のストレッチ
両腕を上にあげて肘を曲げ、頭の後ろ側で右手を左肘に置く。
二の腕が伸びを感じるようにゆっくりと左肘をやや右上方向に引き上げるようにする。
同時に脇の伸びも感じます。10秒ほどキープしたらゆっくり戻す。反対側も同じように行う。
●肩まわし
両腕の肘を曲げ、肘で円を描くように前を通って頭の横→背中側方向→下方向にまわす。
肩甲骨の方まで動くほど大きく何度か繰り返す。反対方向も行う。
●肩のストレッチ
両腕を体の横方向に伸ばし、右腕を胸の前まで同じ高さで移動させる。
左の手首で右腕の肘付近を下から抱えるように抑え、自分の方へ引き寄せる。
右肩から肩甲骨にかけて伸びを意識する。10秒ほどキープしたらゆっくり戻す。
反対側も同じように行う。
●肩甲骨〜背中〜胸
両手を前で組む。息を吐きながら背中を丸め、組んだ手を前方向へ遠ざける。
この時に肘を少し開くようにして前へ伸ばし、背中と引っ張り合いをするとよく伸びる。
ゆっくり戻したら次は後ろ側で手を組む。胸を突き出し肩甲骨を寄せる。
組んだ手は、お尻から少し遠ざけるように斜め下方向へ伸ばす。
同時に胸側も伸ばされます。
●首まわり
頭を右に傾ける。首の左側から左肩にかけての伸びを意識。
首の後ろ側が伸びるように、頭を徐々に前へ傾けていき下を通って左側に頭を傾ける。
同じよう頭を前側だけゴロンゴロンとゆっくりと右や左へ動かす。
※頭を後ろに傾ける動きはしない。首の前側が伸びを感じる程度に顎をあげる程度でよい。
4)ウエスト → 体側
●側屈
足を開いてまっすぐ立つ。
両手を体の横に伸ばし、右手は頭の上方向へ、左手はした方向へ下ろします。
この時に体があまりブレないように軸を保ち、右の体側が伸びることを意識する。
あまり肘が曲がらないところまで右手を頭上から左上方向へ伸ばす。
呼吸を止めずに10秒ほどキープ。ゆっくり戻し、反対側も同じように行う。
●お腹ストレッチ
両腕を上に挙げ、手を組んで伸びのポーズ。
足の裏を地面へ押し付け、肋骨を上へ持ち上げるイメージで伸ばす。
お腹周りの伸びを感じながら、軽く状態を右へ左へと傾けてさらに伸ばす。
ストレッチをするときの注意点
ここまでに説明してきたように、ストレッチは場面に合わせた種類を選ぶことが大切です。
ストレッチ実施の際には次のようなポイントに気をつけるとよいでしょう。
●1つのストレッチに時間をかけすぎる
●ウォーミングアップなしのストレッチ
●怪我などで痛みがある時のストレッチ
●痛くなるまでストレッチをやりすぎる
●足だけ、腕だけ、腰だけなど全身を伸ばさない偏ったストレッチ
<参考外部リンク>
👉静的ストレッチと動的ストレッチ(動画)
👉静的ストレッチと動的ストレッチを適切に使い分ける方法
まとめ
ストレッチはただやればいいものではなく、間違ったやり方で続けていれば怪我の原因になったり、身体を痛めたりと逆効果になってしまいます。
だからといってストレッチを全くしないでいると、歳を取ればとるほど筋肉を硬くしてしまい、姿勢を悪くたり、痛みを感じるようになったり、どんどん柔軟性を低下させてしまうリスクがあります。
正しい知識を身につけた上で、無理のないストレッチを取り入れたいですね。